去る2月17日に再開発事業について、練馬区と準備組合(正式名称:石神井公園南口西地区市街地再開発準備組合)主催による検討状況報告会が開催されました。
●練馬区・準備組合より配布された計画案概要資料【4MB】
●石神井まちづくり談話会代表中田さんによる計画に対する疑問点
報告会はフラットに聞いても疑問ばかり残るものでした。
例えば、「石神井らしさ」を意識した再開発と銘打っているにも関わらず、コンセプトと再開発計画の中身は全くリンクしておらず、計画は超高層ビル建設ありきのものでした。
また、ソフト面の提案として示された「人が集まる石神井プロジェクト施策」の内容もあまりにも稚拙でした。
いまの駅前の問題点として「石神井のブランド発信力が足りない」との認識で、「そのためには①資金源、②発信力、③マンパワーを再開発事業によって獲得する」とし、その具体策の一つが、ビル内に設置される「電子広告によるイベント案内」というおよそ本気で検討しているとは思えない内容でした。スマホ時代のいま、ビルに設置される電子広告がどれだけのアピール効果があるというのでしょうか。あまりに時代錯誤的な感覚に驚きました。
南口駅前を東西に分断する幹線道路計画(補助232号線)についても、納得のできる説明はありませんでした。232号線は、昭和41年に計画された半世紀以上も前のものです。この半世紀で高齢化が進み、自動車台数も減少しており、必要性は大きく変わっているにも関わらず、改めて必要性を検証することもなく、区は計画の実施に固執しています。
補助232号線計画鳥瞰図
練馬区・第四次事業化計画(優先整備路線マップ)【2.4MB】
下記の記事などにあるように、いま進められている「超高層ビル&自動車中心の道路整備」は完全に時代遅れのものです。いまや街づくりで重視されるのは、「歩いて楽しい街づくり」であり、そのような街づくりがされている街こそが今人気を集めているのです。
感覚を楽しませる街づくり(HOME’S総研所長島原万丈氏)
また通過車両数が多い道路によるコミュニティの分断もデメリットです。
サンフランシスコ「都市街路の環境の質」
平成24年7月に策定された「地区計画」との整合性も問題です。地区計画においては、35メートル高さ制限がありますが、今回の計画では110メートルもの超高層ビルを建てる計画です。計画には、区長が別に定める基準に適合し、周辺環境への配慮がされていると認められる場合には制限を超えたビルの建設が可能とされています。
したがって、区長次第ということになります。また周辺住民の大多数が同意することが必要ですが、ほとんどの住民が本計画を知らされていない中、どのように住民の意思を確認するのでしょうか。
さらに進め方にも問題があります。
準備組合が計画を検討するための建設コンサルタントを雇う経費等はどのように賄っているのか、という会場からの質問に対して、ディベロッパーである野村不動産や前田建設工業等が立て替えているとの説明がありました。したがって、この計画が頓挫した場合、再開発を進める地権者はディベロッパーに返済する必要があるのです。
ここからも再開発ありき、超高層ビル建設ありきである問題点が見えてきます。
駅前の活性化のために一定程度の新陳代謝や再開発は必要かも知れません。道路整備も歩行者優先で安全性が確保されたものであれば否定されません。
しかし、現行の計画は再開発を推し進めたい地権者が超高層ビル建設ありきで、賑わいのある街づくりの視点は欠けています。また、ビル建設資金捻出のために、半世紀以上も前に計画された都市計画道路を整備するもので、駅利用者にとって利便性が低下する計画です。
石神井公園という素晴らしい自然を残した石神井らしい駅前開発を、住民参加のもと丁寧に進めていくことを望みます。
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